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納島正弘は、感じのいい奴である。
加えて、見てくれが如何にもデザイナー然としていて、雰囲気がある。
つまり全体的に「なじむ」ムードを持っている。
そういう人間がこういう老舗に行くと、たぶんなじみすぎて、そこの道具の一つにでもなった感じがするに違いない。
そんなことを思いながら読んだ今回のコラム。
これが、彼の味である。

【其の二:和竿の超老舗、銀座「東作」に行ってみること】

その店は創業200年は経っているらしい、十五代将軍徳川慶喜公もここの竿を愛用していたらしい。
江戸前和竿の「銀座東作」

ふ〜む相手にとって不足はない。
某日、東京出張を利用していざ、「東作」へ!

・・・さて、銀座といっても、どのあたりに「東作」があるのかわからない。やみくもにうろついたあげく、交差点のカプセルのような交番のお巡りさんに尋ねた。

「釣り具屋の東作を探しているんですが。」

「???・・・さあ、この辺に釣り具屋があったかなあ。」と隅に佇んでいた野球帽の老人に警官は顔を向けた。

「あるよ、高い竿ばかり売ってる店だ。プランタンの道路を挟んだ向い・・・。」

仙人、銀座の生き字引のような老人が交番にいるなんて、さすがにここはディープな場所だ。

銀座が夜の化粧を始めた頃、やっと青い電飾看板の店をくぐることができた。竿、竿、竿、すべて天然竹で職人が70あまりの工程をかけて創った美しいものばかりだ。しかも、予想外に海釣り用ばかりだ。

そうか!江戸前の釣りは海だ。幸田露伴著「幻談」の主人公が怪奇な方法で手に入れた妖艶な布袋竹の竿も黒鯛用だった。

食い入るように竿をみていた私に、店の主人は
「繋いで、持ってみてください。何を釣られますか?」

「ええ・・・(川釣り用をと思っていたんだけど、ここでは・・・)あのう、チヌを。」

「チヌ???」

しまった!関東では、チヌと言わないんだ。

「カイズ、クロダイです。」

「はいはい、船、ヘチ竿、この辺りがそうです。」

いいなあ〜欲しいなあ。

30分後、店の前にある地下鉄入口をくぐる私の手には、前回の章で「みみちゃん」と「爆釣イクラ」をいれた餌箱がさげられていた。もちろん数日後、チヌ、もといカイズのヘチ竿が宅配されることになっている。

別れ際に、主人は「飾りじゃないですよ、竿にちゃんと水を見せてあげてくださいよ。」

粋なセリフ、さすが「銀座東作」。

(余談だが、なぜ私の住む瀬戸内近郊には、和竿の伝統がないのだろう?瀬戸内の竹の産地、竹原などで和竿づくりをはじめれば、きっと好い産品になるだろうに。)


●「銀座東作」
http://village.infoweb.ne.jp/~fwhz0634/index.htm

●粋な釣人を目指す人へ「Fishing Cafe」
http://fishing.shimano.co.jp/


納島 正弘
E-mail: beagle@orange.ocn.ne.jp
Website: http://www1.ocn.ne.jp/~hound/

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