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| 納島正弘はロマンチストである。 大体がデザイナーという職業を選択したような輩だ。 ロマンのかけらもなくしてこういう商売ができるだろうか・・・! と思わず声を大にして力むのは、僕がデザイナーなぞではない大の証拠である。 デザイナーだなんてとんでもない、 そんな夢見ごこちな仕事なんてやってられない僕は何を隠そうコピーライターなのである。 デザイナーの永遠のライバルにして理解不能な小理屈野郎、 同時に主張の強さたるやお互い相譲らずしてナンボのモンの仲である。 しかしながら互いに互いがいなければ仕事の成り立たない「デ」と「コ」の関係。 水と油の仲にしてビールに枝豆のような相互依存の間柄。 その実この二人、ロマンを語らせれば幾夜もものともせぬのだが、 何分互いに人百倍のこだわりを持つゆえにロマンのテイストに一致を見るか否かは気分次第。 とまれ、ロマンチスト納島正弘の片鱗はこんなエピソードにありの第7話。 |
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| 【其の七:一番素敵な釣り師たちのこと】 | ||||
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| ときどき、仕事で外にでる際に港にフラと立ち寄ることがある。平日だというのに釣り人が何人かいる。 もうリタイヤした釣りじいさん達だ。なかには釣りばあさんもいる。 彼等は自転車やカブ、スクーターなどに実にシステマチックに釣り具を装備して毎日のように顔を合わせ、釣れても、釣れなくても和気あいあいと楽しんでいる。 ニコニコしながら、棚の深さを教えあったり、餌をわけたりして釣りを楽しんでいる。 お互い素性は知らないのではないかと思われる。年金生活者もいれば、どこかの会社の社長もいるだろう。 でもここでは、みんなが魚釣りを楽しんでいる一人の老人でしかない、魚のほうも社会的地位のある方へなびくようなことはしない。釣技を磨く釣りもそれなりに素晴らしいとは思うが、私はこのおじいさん達に釣りの本質をみたような気がした。 |
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「メバルですかあ?釣れます?」と話しかけると、「今日は潮が悪いけえだめじゃのう」とぶっきらぼうな返事、でも全く不愉快な思いはしない。 何年か前の夏、私はこの癒しの場の仲間に入りたくて、朝早くから港へ釣り具を積み込んで出かけた。やっぱり、おじいさん達はもう来ていて、中に一人釣り竿を傍らにおいて、水彩画を描いているおじいさんがいた。その絵には朝の港の風景と仲間の釣りじいさん達が描かれていた。私は竿を出すのもあとにして、しばらくその絵にみとれていた。 |
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