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岡村博文の遊びのカタチは多彩である。 徒歩の旅、自転車、バイク、4WD、釣り、ヒストリックカー、ログハウス・・・・・。 しかし、彼が一番好むのはどうやら、一人旅のよう。それも、小さな一人旅である。 今回は、一回限りの特別寄稿。 少年の心が呼びさまされる日曜の朝に物語は始まった・・。 |
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日曜日の朝、目が醒めて空を見上げる。 「いい天気だよなあ〜。家にいるのはもったいないなあ〜」 そう言いながら、車庫に行ったのが間違いであった。 最近林道を走るためと写真を撮りに行くための足として購入した車(=ジムニー)の座席に座り、ハンドルに手をかけた。 その瞬間、 「走りに行こう!」 と唇は呟いていた。 車庫のシャッターを開け、キャンプ用品一式とカメラ機材と予備のガソリン、そしてコーヒーも忘れずに車に載せた。 出発するまで約15分。 夜までには帰る、と言って飛び出す。 そうは言っても、さて一体どこへ行くのか? そういえば、前から気になっていた林道があったな。 で、そこを探索することに。 そのまま、国道を2時間ほど走った。 |
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たとえば、綺麗に舗装された道路を走る時、タイヤからハンドルに伝わる道の感触は皆無に近い。 しかし林道でダートになると、大地の段差がハンドルを通して直に体まで伝わる。石や水溜りの水などを跳ねる感覚が伝わってくるのである。 大地のデコボコを体感したら、スピードをダウンさせ、緑の空気を体いっぱいに浴びる。林道を走る幸福の一瞬である。 道とタイヤの振動を心地よく体で感じながら、手に伝わる感覚を瞬時に判断してコース取りをするのは飽きない。 二駆から四駆にシフトする瞬間。 それは陸上競技で例えるならば、スタート地点に立った瞬間に近いものがある。 ドキドキし、少し気をひきしめてアクセルを踏む。 そう感じて林道を走り始めて9年目である。 林道での危険や車のトラブル、また思いがけないスッタクも経験している。 今回はたった一人(1台)。冒険である。 無茶に奥まで突っ込むと車を置いて帰ることになりかねない。そうなると、さっき見た最後の家まで何時間も歩くことになる。 ある程度荒れた道の方が確かに面白いのだが、草が生い繁り道に轍もなくなるとさすがに不安になってくる。 車が動かなくなったら、どうしようか。 もうここらで引き返すか。迷い出す。 一人は自由でいいが、決断の連続なのである。 この車はフル装備をしていない。つまり、「やめる」という段階は早くやってくる。 もしウィンチを付けていれば、スタックして出れなくなっても自力で脱出は可能になるが、なにしろ資金が無い。 |
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ところで装備の話だが、林道に入る時は予備のガソリンと食事を用意していなくては痛い目に合うことがある。 今回も予備タン(18リットル)は携帯している。林道に入る前にコンビニで簡単な弁当も買った。 できれば景色のいいところで携帯コンロで肉を焼き、食後はゆっくり昼寝でもしたいのだが、今回は咄嗟の思いつきの行動。 準備が悪くてこれは諦める。 しかし案の定であった。 林道で迷いに迷い、行き止りも2度。危険を感じて諦めること3度。 結局、2時間以上もさまよってしまった。 弁当を買ったのは大正解。林道脇で軽く食事は済ませた。 エンジンを止めて林に立つと、周りからは鳥のさえずりや風が木を揺らす音が聞こえてくる。 椅子を林の中に置き、一人座る。 しかし、後ろから何か動物がやって来やしないかと何度も振り返る。 馬鹿なことしてるよな・・・。 でも一人ぼっちでここに居ること。 それは自然の中の大いなる自由であり、快感である。 |
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それにしても今回は景色のいい所でサイフォンで沸かすコーヒーが飲めなかったのは、返す返す残念であった。 |
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